和菓子小径こみち
夕焼けに染まる神社と秋の空の風景
茜色に包まれた神社と、ゆるやかに流れる秋の空

色を歩く ― 季節の陰影に触れる和の記憶

朝の風がひんやりと頬をかすめ、秋の匂いがそっと漂います。

道すがら、神社の屋根越しに見上げる空や、足もとに広がる草の色――ひとつひとつが季節の歩みを語りかけてくるようです。

色の変化を追いながら歩く時間は、心を澄ませる小さな旅のようでもあります。

自然が語る色の物語

春の新緑が「若草色」なら、秋の並木は「朽葉色」や「茜色」へと移ろいます。

朝の光の角度、夕暮れの湿り気――同じ景色でも、時間とともに表情を変えていきます。

ときに、神社の屋根越しに広がる夕焼けが、空を金と紅のあわいに染める瞬間があります。

光が瓦に反射し、ゆっくりと夜の帳へと溶けていく――そんな景色に出会うたび、自然の呼吸に心が静かに溶けていくように感じます。

道すがらの記憶がかたちになる

季節の移ろいを感じ取る心は、和菓子づくりの根にあります。

紅葉の深み、朝露のつや、夕焼けの淡い残光――自然が見せるほんの一瞬の美しさを、落雁の生地に、そっと秋の息吹を閉じ込めます。

小さな変化に気づく目がなければ、和菓子に季節の息づかいを与えることはできません。

道すがらに感じた光や風の記憶が、やがてひとつの形となり、味へと育っていきます。

その積み重ねこそ、和菓子づくりを支える根本です。

自然と調和し、日々の中に潜む美を見つめる。その静かなまなざしが、季節の和菓子を生み出す源であり、わがし京増が心に灯す、“和のこころ”そのものです。