和菓子小径こみち
栗ペーストを使った菊模様の和菓子三種
栗の和菓子三種 ― 秋の実りを味わう

満ちて欠けゆく光が描く、二夜の祈り

秋の夜長、静かな月がのぼり、白と緑、淡い黄が織りなす調和が、夜の静けさに温もりを宿します。

十五夜に続く十三夜――二度の月を重ねて愛でるのは、日本ならではの風雅な文化です。

2025年は11月2日が「栗名月(十三夜)」にあたり、秋の終わりを告げる月として古くから親しまれてきました。

十五夜 ― 豊穣を祈る夜

秋は自然の色が最も深くなる季節。

旧暦八月十五日の「中秋の名月」は、稲の実りに感謝し、豊穣を祈る夜として人々に愛されてきました。

団子やすすきを供え、収穫の喜びを月に捧げるその姿に、自然とともに生きる心が宿ります。

十三夜 ― 実りをたたえる夜

十五夜から約一か月後、旧暦九月十三日の月を「十三夜」と呼びます。

2025年は11月2日がその日にあたり、「栗名月」または「豆名月」ともいわれます。

栗や枝豆を供える風習から、秋の実りをたたえる意味を持ち、十五夜とはまた違うあたたかさがあります。

満月より少し欠けた十三夜の月には、円満すぎない「余白の美」が静かに息づきます。

月を二度見る文化の意味

日本では、十五夜と十三夜の両方をお月見することを「二度見の月」と呼びます。

一方だけを眺めることを「片見月」と言い、かつては縁起が良くないとされることもありましたが、これは地域や時代による伝承の違いとも言われています。

二度の月見には、「季節のめぐりを最後まで見届ける」という想いが込められ、自然への感謝と謙虚な心のあらわれでもあります。

秋の終わりに訪れる静かな輝き

十三夜の頃、空気は澄みわたり、木々の色も深まります。

夜風の冷たさの中に、月の光がいっそう冴えて見える季節です。

満ちきらぬ月が、どこか人の心の奥に寄り添うように輝く――

それが栗名月の魅力といえるでしょう。

秋の終わりに ― 栗名月が教えるもの

秋の終わり、栗名月が静かに照らす夜。自然を想い、感謝を覚える。

十五夜の華やかさに対して、十三夜はどこか内省的な美しさを持ちます。

菓子づくりもまた、季節の移ろいに寄り添いながら、自然の恵みを形にしていく営み。

月を仰ぎながら、穏やかな感謝の気持ちを重ねる――そんな秋の夜です。