和菓子小径こみち
寿の文字を中心に、松竹梅の意匠をあしらった元旦の落雁
寿乃苑之景

年の光に添えて、三つの瑞のかたち

新しき年に ―― 松竹梅、かたちに宿る願い

夜の名残がまだ空気にとどまる元旦の朝。

澄んだ光が静かに差し込み、新しい年が、息をひそめながら、ゆっくりと立ち上がります。

祝いの席に置かれた落雁は、言葉に代わり、願いをかたちにしたものです。

松 年を重ねる力

冬の寒さにも色を失わぬ松は、古くから長寿と不変の象徴とされてきました。

時を重ねても揺るがぬ姿は、家の安泰や代々続く繁栄を意味します。

松の落雁には、この一年を静かに、そして確かに歩む力が託されています。

竹 空を目指して伸びる道

竹は節を刻みながら、空へとまっすぐ伸びていきます。

風雪にしなやかに身を任せつつ、決して折れないその姿は、成長と節度の象徴。

新しい年に向け、迷いながらも前へ進む心を映しています。

梅 はじまりを告げる花

梅は、春を待たずして寒中に花を咲かせます。

厳しさの中でこそ香り立つその花は、希望と兆しの象徴。

梅の落雁には、困難の先にある始まりへの願いが込められています。

祝いを口にするということ ―― 松竹梅の余韻

松・竹・梅、それぞれの願いを映した落雁をひと口含むと、やさしい甘さがほどけ、静かな余韻が広がります。

元旦という節目に、これからの一年を思い描く――その時間そのものが、何よりの祝いなのかもしれません。

松は、冬の只中でも色を失わず、長き時を生き抜く強さを伝えます。

竹は、風にしなやかに身を委ねながら、折れず、曲がらず、天を目指して伸びてゆく。

梅は、まだ寒さの残る庭先で、春を待たずに、希望の香りをひらきます。

三つの姿に託されたのは、耐えること、育つこと、そして始めること。新しい年を生きる私への、静かな祈りです。

どうかこの一年が、折れず、迷わず、やがて花ひらく道となりますように。
元旦の朝、松竹梅の落雁とともに。