和菓子小径こみち
春の和菓子『香幟航詠』梅の帆と六彩の熨斗を表現した落雁
香幟航詠 ― 春を帆にのせる六彩の舟

雪解けに香る梅の舟

寒を越えてほころぶ梅

冬の寒さを越え、梅の花は春の兆しを告げる先駆けとしてほころぶ。

清らかな香りは、厳しい冬を経て芽吹くいのちの力を感じさせ、心にそよぐ温もりとなります。

早春にほころぶ梅は桃の節句へと続く季のはじまりを示し、掲げられた幟に梅の意匠を重ね、春の訪れと祝意に彩られる。

六色の熨斗の上に、ひとひらの帆。梅の意匠はその帆に寄り添い、香りを帆にのせて季節の舟を進めます。

春風にゆれる香の帆

──紅匂ひて 帆にのる香の 梅ひそと
六色のふね 春へ詠ふらむ──

紅の色がほのかに映える帆には、梅の花の景色がたなびき、春の海へと六彩の舟を導きます。

帆は未来への希望や新たな門出、旅立ちの象徴となり、春の風を受けて季節の息吹を運ぶ。

紅の色香がほのかに立ち、帆にのぼる香気は梅の香りとともに春の海へ漂い、春を詠み込みながら、帆は六彩の舟を沖へと誘う。

熨斗に込める祝意

熨斗は、長寿や喜びの気持ちをのせ、贈り物を彩る縁起物です。

細長く折られた紙の上に干したアワビを添えることからは、海の幸と祝意を共に贈る慣わしが息づく。

祝いの席で熨斗を添えることは、相手への敬意と幸福を運ぶ象徴となり、色や形に想いが宿ります。

六彩にのせる寿ぎ

青、赤、紫、黄、白、緑。六彩の熨斗は、晴れの日に贈る祝意を色で重ねたものです。

それぞれの色が、健康・長寿・繁栄・幸せ・純粋さ・調和を映し、祝いの場にふさわしい輝きをまといます。

その上に掲げた幟は、未来への歩みと健やかな成長を映し出す象徴となります。

春の便りをのせる一菓

「香幟航詠」は、春の兆しと祝意、そして門出を寿ぐ心を重ねて仕立てた落雁です。

梅の花がほころぶ景色は、新しい季の訪れを告げ、掲げた幟は未来への希望を映し出します。

淡雅な甘みの余韻は、まるで一幅の絵を眺めるような、静かで深い詩情を届けます。

晴れの日の贈り物にも、新たな旅立ちのしるしにもふさわしい一菓。