カテゴリ: 文化・伝統
祈りが結ばれる、初春の石畳
新しき年、祈りを携えて
元旦の朝、街が本格的に動き出す前のひととき。
澄みきった冬の空気に包まれながら、一年の最初の一歩を踏み出しました。
静けさと、これから始まる一年へのかすかな高揚。
その両方を胸に、成田山新勝寺へと初詣に向かいます。
冬の冷たい空気のなかを歩く参道。
白い息はゆっくりと立ちのぼり、足音は石畳にやさしく吸い込まれていきます。
長い歴史を重ねてきたこの道を進むほどに、新年という節目が、静かに心を正してくれるのを感じました。
声なき願いの集うところ
境内に足を踏み入れると、新年のにぎわいが、やわらかな熱となって満ちていました。
低く響く太鼓の音が空気を震わせ、重なる読経の声が、境内をひとつの祈りへと導いていきます。
その響きに包まれながら、人々はそれぞれの想いを胸に、静かに手を合わせていました。
家族の健康、商いの無事、日々の平穏。
言葉にされることはなくとも、ひとつひとつの所作に、確かな願いが宿っています。
私もまた、この一年、誠実に菓子づくりと向き合えるよう、心を整えました。
一つひとつを疎かにせず、素材と向き合い、季節の移ろいを写し取る落雁をお届けできるように。
年の始まりに、菓子を結ぶ
正月の和菓子には、特別な意味が宿ります。
かたちに込められた願い、色に映る季節、口に含んだときのやさしい甘さ。
それらすべてが、新しい年の始まりと、静かに響き合っているように思います。
落雁は、声高に語ることのない和菓子です。
控えめな甘さの奥に、時間の流れや、余白の豊かさを宿しています。
忙しない日々のなかで、ふと歩みをゆるめるひとときに。
成田山で手を合わせたあとの余韻を胸に、今年も季節に寄り添う落雁を、一つひとつ大切にお作りしてまいります。