カテゴリ: 文化・伝統
静かに寄り添う仏事菓子 ― 白と黄で彩る落雁のしつらえ
法要の引出物として、白と黄の落雁を二つ並べるとき、「どちらを上に置くべきか」と迷われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
一見ささやかな違いのようですが、そこには和菓子ならではの祈りの心が静かに息づいています。
白の落雁 ― 清らかさと祈りの象徴
白は古来より「清浄」「無垢」を意味する色とされてきました。
仏事では、穢れのない心で故人を偲び、浄土への導きを願う色として用いられます。
白い落雁は静寂と清らかさを宿し、心を鎮めるような穏やかな印象をもたらします。
黄の落雁 ― 光明とやすらぎを添える色
黄はやさしい光を思わせる色で、仏教では「光明」や「慈悲」を象徴します。
白に寄り添う黄の落雁は、祈りの中にそっと温もりを添え、故人への感謝や安らぎの願いをかたちにします。
並びに込められた想い
落雁の上下の並びには、白を上に置く場合と黄を上に置く場合があります。
白を上に置くのは、清らかな祈りを最前に据えるという考え方に沿ったものです。
黄を上に置くのは、仏の慈悲や光明を先に立てるという解釈に基づいたものです。
どちらの並びにも、故人を想うやさしい祈りが込められています。
わがし京増でのしつらえ
当店では、法要の引出物としてお詰めする際、上に白、下に黄の並びを基本としております。
清らかな白を上に、やすらぎの黄を下に添えることで、静かな祈りの流れを大切にしています。
また、地域や慣習によっては黄を上にしてお詰めする場合もございます。
ご希望に合わせて黄を上にしてお包みすることもできますので、どうぞ遠慮なくお知らせください。
落雁と饅頭で並べ方の意味が異なること
饅頭では色付き(黄や赤など)が上になることが多く、 色付きの饅頭は仏の光や慈悲を表し、上に置くことで「導きの意味」を込めると考えられています。
そのため、落雁と饅頭では上下の並び方をそれぞれの習慣に沿って整えるのが望ましいとされています。
落雁と饅頭はどちらも仏事の引出物として用いられますが、上下・左右の意味合いには違いがあります。
落雁は形や色がやわらかく、静かで上品な印象を重んじるお菓子です。
そのため、清らかさや浄土を象徴する白を上に、やすらぎを添える黄を下に重ねる形が、故人への敬意と祈りを託すかたちとして、ひとつのしつらえとされています。
左右の並びも同様で、落雁と饅頭で自然に変わります。
落雁の場合は向かって右に白、左に黄、饅頭の場合は向かって右に黄、左に白とするのがそれぞれの意味に沿った配置です。
お供えの際の左右の並び
箱に入れた上下の並びは、当店が祈りの心を込めて整えたものですが、 お供えの場でお皿に並べる際には、向かって右に白、左に黄を置くと、伝統的な並び方としてよく見られます。
右は上位・尊位をあらわす位置とされ、白を右側に配することで、落雁の清らかさを感じながらお供えいただけます。
祈りをかたちに
並べ方ひとつにも心を添えることが、和菓子に込める祈りの表れです。
形を整えることで、手に取る方にも穏やかな気持ちが届きます。
当店では、慣習を大切にしながらも、贈る方の思いに寄り添ったご用意を心がけております。