和菓子小径こみち
高砂をかたどった縁起の落雁|尉と姥と相生の松
高砂の意匠を写した縁起の落雁

高砂の落雁 ― 夫婦円満と長寿を祝う縁起菓

日本の祝言やお祝いの席でたびたび登場する「高砂」。

その名を聞けば、夫婦の絆や長寿を象徴する物語を思い浮かべる方も多いでしょう。

今回は、その由来と物語に込められた意味、そしてわがし京増で仕立てる「高砂の落雁」についてご紹介します。

高砂とは ― 祝言にのぼる吉祥の物語

「高砂」は、室町時代に成立したとされる能の演目のひとつ。

姫路の高砂の浦と、遠く離れた住吉の浦に生える「相生(あいおい)の松」が題材となっています。

この松は、根を一つにして二本の幹が伸びていることから、夫婦円満や和合の象徴として古くから尊ばれてきました。

物語のあらすじでは、阿蘇宮の神職・友成が高砂の浦を訪れ、尉と姥と呼ばれる老夫婦に出会います。

二人は相生の松の由来を語り、やがて神霊となって消え、住吉で再び友成の前に現れます。

彼らの舞と祝言によって、天下泰平・夫婦和合が讃えられる――それが「高砂」の物語です。

その結末には、「高砂やこの浦舟に帆をあげて」という有名な謡の一節が詠まれ、今日でも結婚式や長寿祝いの席で謡われています。

能から歌舞伎へ ― 祝福の象徴として受け継がれて

「高砂」は能だけでなく、後に歌舞伎や祝言の儀礼にも取り入れられ、新郎新婦の前途を祝う象徴的な演目として親しまれてきました。

尉と姥が並んで登場する姿は、夫婦がともに老いても変わらぬ愛を誓う象徴として描かれ、その穏やかで温かな情景は、日本人の理想の夫婦像を映し出しています。

現在でも「高砂人形」として、尉と姥の姿をかたどった人形が婚礼の席に飾られることがあります。

その伝統を菓の世界に映したものが、「高砂の落雁」です。

高砂をかたどった落雁 ― 祝いの心を形に

わがし京増では、古来より縁起のよい意匠とされる「高砂」を落雁の型に写し取り、上白糖を用いて、すっきりとした甘みとやわらかな口どけに仕立てました。

尉と姥、相生の松、鶴や亀などの吉祥モチーフを一つひとつ丁寧に型打ちし、白や淡紅、若草など、穏やかで祝意のこもった色合いで仕上げています。

上白糖ならではの素朴でまろやかな甘みは、どこか懐かしく、やさしい味わい。

祝いの席や贈りものに添えれば、和のこころをそっと伝える一品となります。

祝いの席に添える、和の心

「高砂」の物語に込められた願い――それは、時を経ても変わらぬ絆と、共に歩む幸せ。

落雁という小さな菓子に、その祈りと心を映しました。

祝いの席を彩る縁起菓として、また感謝の贈りものとして、わがし京増の「高砂の落雁」をどうぞお楽しみください。

小さな落雁が伝える、吉祥の物語

「高砂」は、古くから夫婦円満と長寿の象徴として親しまれてきた物語です。

その吉祥の意匠をかたどった「高砂の落雁」は、祝福の席にふさわしい日本の伝統菓。

心をこめて仕立てた一粒に、和の美と祈りを感じていただければ幸いです。