和菓子小径こみち
青韻、基翠の落雁
左:青韻 右:基翠

青の気配、澄みゆく余白

竹が宿す清らかな美

竹は古来より、まっすぐに伸びる姿が「潔白」「節度」「成長」の象徴とされてきました。その静かな佇まいを落雁にうつしたのが「きり竹」です。

淡い緑の色合いと、ひかえめな甘さ。砂糖と米粉が重ねるしっとりとした質感に、竹の影がそっと息づきます。

夏の茶席にも、冬の静謐な席にもよく似合う意匠。その一本に、四季を通して変わらぬ美しさが宿っています。

きり竹 ― 意匠と素材の物語

竹は古くから、日本人の心に寄り添う植物として親しまれてきました。

まっすぐに伸びる姿は節度を、青みを帯びた色は清涼を、折れてもなお根を張る姿は静かな強さを象徴します。

その竹をかたどった落雁「きり竹」は、潔さとやさしい甘みをそなえた一品です。

竹を映すかたち ― 造形の美

「きり竹」は、細く伸びる形に節を添え、青竹をそのまま切り取ったような意匠に仕上げています。

淡い緑が目にも心にもやわらかな涼味をもたらします。

型打ちでは節のラインを保つため、手の圧にひとしずくの注意を込めています。

茶席に添える、静かな存在

茶道において竹は「清浄」「謙虚」「節度」の象徴。

「きり竹」もまた、抹茶の渋みをそっと和らげ、ひとときの静けさを彩る菓子です。

夏には涼を、冬には青々とした希望を添えてくれます。

季節を越えて ― 竹のようにまっすぐに

香料を使わず素材本来の甘みで仕上げることで、竹のもつ「無垢」を際立たせています。

季節を問わず飾れる意匠として親しまれる「きり竹」。

その一本には、変わらぬ誠実さと清らかな心を大切にする和の菓子づくりの精神が息づいています。

青韻(せいいん) ― 竹が語る、静けさのひとしずく

竹をかたどった落雁に託した名、「青韻」。青は若竹の清らかさと生命の息吹を、韻は風に揺れる竹の音が残す余韻をあらわします。

すっと伸びる節や切口のあらわれ――その静かな姿に、まっすぐな心と澄んだ響きを重ねました。

祝いの席に添える菓として、新たな門出や節目を清々しく祝う意を込めています。

口に含むとほろりとほどけ、竹林を渡る風のような静けさと余情を感じさせる一品です。

竹の節は、まっすぐに生きる気高さを宿し、古来より清浄の象徴とされてきました。

その節が重なり生まれる“間”の静けさ――耳を澄ますと、風にそよぐ竹林の音がそっと届くような清々しい余韻を感じていただけます。

素材の味わいを生かし、しっとりとしたやさしい口当たりに仕上げました。竹の清らかな気配を、どうぞ一息の茶とともにお楽しみください。

基翠(きすい) ― 竹の芯に宿る、澄んだみどり

竹が地に根を張り、まっすぐに伸びゆくその“基”に、若緑の生命がきらりと息づく“翠”の色を重ねて名づけた「基翠(きすい)」。

形は端正に、味わいは静かに。口に含むとほろりとほどける甘さのあとに、竹林を抜ける涼風のような軽やかな余韻が広がります。

ひとつひとつ丁寧に手作りされた落雁は、淡く透き通る緑の色合いが目にもやさしく、手に取るだけで静けさが伝わるようです。

春の若竹を思わせる清涼感と、控えめながらも心に残る甘みが、茶席やおもてなしの場にそっと彩りを添えます。

一本の竹がまとう清々しさと、芽吹きの息づかい。その気配を、そっとひと欠片に閉じ込めた一品です。

お茶の時間に、清涼のひとしずくを添えてお楽しみください。