和菓子小径こみち
夏の畑で実るかぼちゃ
夏を越えて、実りの色

天地しずまり、空の色変わる

夏の名残をたどり、季節は移ろう

8月も終わりに近づき、暑さの中にも少しずつ季節の変化が感じられる頃です。

暑さはまだ続くものの、日の暮れる時刻は少しずつ早くなり、朝夕の風にも変化が感じられます。夏の盛りを過ぎた空には、季節の移り目が表れはじめています。

夏の名残を感じる一方で、草木や野の風景にも次の季節へ向かう気配が見られます。暦の上でも、夏から秋へと季節が移ろう時期を迎えています。

処暑、暑さのゆく頃

二十四節気では、立秋の次に訪れるのが「処暑」です。2026年は8月23日に処暑を迎え、9月6日頃までがその期間にあたります。

「処」には、おさまる、落ち着くという意味があります。処暑は、暑さが峠を越え、少しずつ和らいでいく頃を表した節気です。

まだ日中には厳しい暑さが残るものの、朝夕の風や虫の声、夕暮れの早さなど、季節の変化が感じられるようになります。暑さの中にも、少しずつ秋の気配が深まっていく頃です。

天地の気、秋の兆し

処暑の七十二候には、「天地始粛(てんちはじめてさむし)」があります。8月28日頃から9月1日頃にあたり、暑さが衰え、天地の気が引き締まっていく頃を表す言葉です。

「粛」には、おさまる、引き締まるという意味があります。夏の盛りを過ぎ、空気や風にも少しずつ変化が感じられる頃です。

この頃には、稲が穂をつけ、夏の間に育った野菜も収穫を迎えます。暑い季節を過ごした植物が実を結び、食べ物として届く季節へ移っていきます。

夏を越した実りを、食卓へ

季節が秋へ向かう頃、夏の間に育った作物が実りを迎えます。こうした季節の恵みは、昔から食卓だけでなく、仏前へのお供えにも用いられてきました。

かぼちゃも、夏から秋にかけて親しまれてきた野菜のひとつです。黄色い花を咲かせ、夏の日差しを受けて実を育てます。お盆の頃には、煮物などにして仏前に供えることもあります。

旬を迎えた食べ物を供えることには、その時季に得られた恵みを手向ける意味があります。収穫したものを供え、手を合わせたあとに家族でいただくことも、食べ物への感謝を分かち合うひとときとなります。

また、かぼちゃは保存性にも優れ、収穫後も長く食べることができる野菜です。夏に育った実りが、秋から先の季節の食卓へつながっていきます。

季節をいただく、ということ

季節のものをいただくことは、その時季ならではの味を楽しむだけでなく、自然の移り変わりを知るきっかけにもなります。育まれた作物を食卓に迎えることで、季節の巡りを身近に感じることができます。

和菓子づくりにも、季節の草花や風景を取り入れ、その時季ならではの姿を形にする文化があります。春の花、夏の涼、秋の月、冬の雪。自然の変化は、菓子の意匠や味わいにもつながってきました。

季節の実りを供え、家族でいただくことも、和菓子を通して季節を楽しむことも、日々の暮らしの中で自然の恵みを受け取る営みのひとつです。

処暑から天地始粛へ移る8月の終わり。暑さの中にも少しずつ秋の気配が深まり、次の実りへ向けた時間が続いています。夏に育まれた恵みを味わいながら、静かに秋を迎える頃です。