和菓子小径こみち
朝顔の落雁、器から咲く姿を表現した夏の和菓子
朝の光を待つ、季節の花姿

夏の名残と秋の便り

寒蝉鳴──夏の終わりを告げる、夕暮れの声

七十二候の「寒蝉鳴(ひぐらしなく)」は、2026年は8月13日頃から17日頃にあたる季節の節目です。

暦の上では秋へ向かい始める時期ですが、実際には一年で最も暑い日が続く頃でもあります。

夕暮れに響くひぐらしの声は、夏の盛りの中に秋の気配が混じり始めたことを知らせます。

朝顔が咲く朝、蝉が鳴く昼、ひぐらしが響く夕暮れ。それぞれの時間に季節の変化を感じられる頃です。

朝顔が朝に咲く理由、夜明けにほどける花の姿

朝顔は、名前の通り朝に花を開くことで知られる夏の代表的な花です。

しかし、朝になって突然咲くのではなく、夜の間から花を開く準備をしています。

朝顔の開花には日照時間や気温の変化が関係しており、夜明け前から少しずつ花びらを広げていきます。

短い時間に美しい姿を見せる朝顔は、日本の夏の暮らしの中で親しまれてきた花のひとつです。

朝の限られた時間に咲く朝顔の姿は、季節の一瞬を大切にする和の感覚にも通じています。

夏の終わりを映す、蝉の声と空模様

寒蝉鳴の頃には、ひぐらしだけでなくツクツクボウシの声も聞かれるようになります。

力強いアブラゼミの鳴き声から、夕暮れのひぐらしの声へ変わっていくことで、夏の終わりが近づいていることを感じます。

空にも変化が現れ、夏を象徴する大きな入道雲から、少しずつ高さのある秋らしい雲が見られるようになります。

気温はまだ高くても、蝉の声や雲の形には次の季節へ向かう変化が表れています。

暦は秋へ、季節はまだ夏の中

立秋を迎えると暦の上では秋になりますが、8月は一年の中でも暑さが続く時期です。

これは、海や地面に蓄えられた熱が残っているため、暦の変化と気温の変化にずれがあるからです。

そのため立秋以降の暑さは「残暑」と呼ばれ、夏の名残として表現されます。

暑中見舞いは立秋の前まで、立秋を過ぎると残暑見舞いへ変わります。

季節の挨拶が変わることからも、日本では暦によって季節を細やかに感じ取ってきたことが分かります。

お盆と朝顔、夏の暮らしに寄り添う花

8月はお盆を迎える地域も多く、先祖を偲びながら夏の時間を過ごす季節です。

昔から夏の庭先で親しまれてきた朝顔は、身近な季節の花として人々の暮らしに寄り添ってきました。

お盆の時期には、盆棚やお供えの花として季節の花を飾る習慣もあります。

朝顔の落雁は、夏らしい彩りを添えるお菓子として、お盆のお供えや季節の贈り物にもおすすめです。

季節の意匠を映した和菓子とともに、夏から秋へ移るひとときを味わいます。