カテゴリ: 文化・伝統
果てなき青へ、命の鼓動を響かせて。
海の日とは──海の恵みに感謝する国民の祝日
海の日は、「海の恩恵に感謝するとともに、海洋国日本の繁栄を願う」ことを趣旨として定められた国民の祝日です。
四方を海に囲まれた日本では、古くから漁業や海運によって暮らしが成り立ち、海は食文化や物流、産業の発展に大きな役割を果たしてきました。豊かな海の恵みとともに受け継がれてきた文化に思いを寄せる日でもあります。
夏本番を迎える頃に訪れる海の日は、青い海や空を眺めながら、日本と海との深い結びつきをあらためて感じる機会となっています。
海の日の由来と、7月第3月曜日になった理由
海の日の起源は、1876年に明治天皇が東北地方を巡幸した帰路、灯台巡視船「明治丸」で横浜へ帰着された出来事に由来します。この日を記念し、長く「海の記念日」として親しまれてきました。
その後、1996年に「海の日」として国民の祝日に制定され、当初は毎年7月20日とされていました。
2003年からは、祝日を連休化する「ハッピーマンデー制度」により、現在の7月第3月曜日へ変更されています。年によって日付は変わりますが、夏の訪れを告げる祝日として定着しています。
犬吠埼に広がる、夏の太平洋
千葉県銚子市にある犬吠埼は、雄大な太平洋を望む景勝地として知られています。水平線まで続く青い海と白波、吹き抜ける潮風が、夏の訪れを感じさせます。
犬吠埼灯台は明治時代に建てられた歴史ある灯台で、現在も沖を行き交う船の安全を見守り続けています。青空へ伸びる白い灯台は、この地を代表する景観の一つです。
海の日にこの景色に触れると、海が日本の暮らしや産業を長く支えてきたことを実感できます。
海運が育んだ日本の食文化と和菓子文化
日本の食文化は、海によって大きく発展してきました。各地の港を結ぶ海運は、人や物だけでなく、新しい文化や技術も運び、多くの地域へ広めてきた歴史があります。
和菓子づくりに欠かせない砂糖も、その一つです。江戸時代には国内での生産に加え、海外から運ばれた砂糖が海運によって全国へ広まり、和菓子文化の発展を後押ししました。
また、塩も海からもたらされる大切な恵みです。甘さを引き立てる隠し味として使われるほか、保存や加工にも欠かせない素材として、日本の食文化を支えてきました。
海が育んだ、落雁の意匠
海は穏やかな表情を見せる日もあれば、荒々しい波を立てる日もあります。寄せては返す波や、どこまでも続く水平線は、古くから日本の暮らしや文化を育み、多くの人々の心を惹きつけてきました。
わがし京増でも、そうした海の情景を落雁の意匠に取り入れています。夫婦岩を題材にした「瀬暉礎」「耀峰結」、鯛をかたどった「福鯛輪」「天潮舞」など、一つひとつの菓銘には海への思いを込めています。
穏やかな海の美しさや、力強く打ち寄せる波の躍動感。その情景を木型に刻み、さらに青を基調に紅や緑を重ねることで、光を含んだ深みのある海の色を表現しています。
海から受け取ってきた恵みや文化への感謝を、ひとつの落雁に込め、これからも季節の中で伝えていきます。