カテゴリ: 季節・行事
盛夏への扉に立つ
白き葉が告げる、夏への節目
雨に潤された木々はいっそう鮮やかさを増し、夏の力強い気配が日ごとに深まっています。
七十二候では「半夏生(はんげしょうず)」を迎え、一年は本格的な夏へと歩みを進めます。七十二候の日付は年によって前後しますが、2026年は6月29日から7月3日頃にあたります。
また、雑節にも同じ「半夏生」があり、田植えを終える節目として古くから人々の暮らしを支えてきました。雑節の半夏生は夏至から数えて11日目とされ、年によってわずかに前後しますが、おおむね7月2日ごろにあたります。こうした暦の知恵は、日本の四季とともに今日まで大切に伝えられてきました。
七十二候「半夏生」とハンゲショウ
七十二候の半夏生(はんげしょうず)は、薬草として知られる「烏柄杓(からすびしゃく)」が生え始める頃を意味しています。田畑や野辺に小さな命が芽吹き、盛夏へ向かう自然の営みを細やかに表した季節の言葉です。
一方、「半夏生」と聞くと、葉の一部が白く染まる植物「ハンゲショウ」を思い浮かべる方も少なくありません。しかし、七十二候の半夏生が指す植物は烏柄杓であり、白い葉が美しいハンゲショウとは別の植物です。
同じ読みを持ちながら異なる植物が季節と結び付けられてきたことも、日本の自然文化の奥深さを物語っています。
花を導く、小さな知恵
ハンゲショウの魅力は、花よりも白く染まる葉にあります。
実はこの白い葉には理由があり、小さく目立ちにくい花へ昆虫を導く目印の役割を果たしていると考えられています。
一方で、白い部分は葉緑体が少ないため、緑色の葉ほど効率よく光合成はできません。それでも花の近くの葉だけを白く変えることで、受粉と光合成の両方をうまく両立させています。
その姿は、美しさだけでなく、生き抜くための巧みな工夫を私たちに教えてくれます。
季節を包む、ひとつの和菓子
半夏生にまつわる暦や風習には、四季の変化を暮らしの中で慈しむ心が込められています。
和菓子もまた、その時々の自然や歳時をかたちにし、四季を味わう文化として育まれてきました。季節を題材にした落雁や上生菓子には、その瞬間ならではの美しさが込められています。
半夏生を迎えたこの時季、和菓子を味わいながら、日本の四季や伝統文化に思いを寄せてみてはいかがでしょうか。